有名人はゴムマスクの別人?顔が違って見えるワケを検証
「あの有名人は、マスクをかぶった別人に入れかわっている」。SNSで写真を並べて語られるゴムマスク説・影武者説を、特定の人の名前は出さずに、なぜ同じ人が別人に見えてしまうのかという顔の研究から解説します。
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どんな説?
有名な政治家や芸能人などが、実はいつの間にか別人に入れかわっていて、その別人がゴムやシリコンのマスクをかぶって本人のふりをしている、という説です。本物の代わりに表に出る「影武者」がいる、という形で語られることもあります。「昔の写真と顔がちがう」「鼻の形が変わった」などと、写真や動画を並べた投稿がSNSで広がります。
この記事では、特定の人の名前は出さずに、「なぜ同じ人が別人に見えてしまうのか」を解説します。
なぜ広まった?
- 写真を並べると、別人に見える:同じ人でも、写真によって顔の印象は大きく変わります。たくさんの写真が出回っている有名人ほど、「ちがって見える2枚」を探し出すことはかんたんです。
- 本当にリアルなマスクがある:1つ約1000ポンド(約20万円)ほどする、本物の顔そっくりのシリコンマスクは実際にあります。英国のヨーク大学と京都大学の研究では、写真を見て「どちらがマスクか」を当ててもらったところ、5回に1回はまちがえました。「マスクなら見分けられない」という話に、それらしさを与えています。
- 「別人だ」と言い切る投稿は目を引く:「顔が変わった」という指摘は、見る人がその場で写真を見比べて確かめた気分になれるため、SNSで広がりやすいのです。
実際はどうなの?
- 説の言い分
昔の写真と顔がちがうから、別人だ
実際は英国などの研究者は、同じ人でも写真ごとの見た目のちがいはとても大きく、その人をよく知らない人は、同じ人の写真を別人だと判断しやすいことを実験で示しました。研究者は、顔写真1枚は本人であることの証拠には向かない、と結論づけています。別の研究では、2人分の写真を、何人分あるかを知らせずに分けてもらったところ、平均で7.5人分に分けられました。
- 説の言い分
鼻や顔の形が変わっている
実際は顔の形は、カメラとの距離でも変わって写ります。米国のラトガース大学などの研究では、顔から約30センチの距離で撮った自撮りは、約1.5メートルで撮った写真よりも、鼻の付け根が約30%幅広く写ると計算されました。照明や表情、年れい、画像の加工によっても、顔の印象は変わります。
- 説の言い分
写真で見分けられないのだから、マスクの可能性がある
実際は写真だけでは見分けにくい、ということは、マスクだという証拠にもなりません。写真だけで「別人だ」と決めることができない以上、説を支える根拠も写真の見比べだけ、ということになります。
- 説の言い分
家族や仕事仲間も、だまされている
実際は先ほどの研究では、その人をよく知っている人は、写真がちがっていても同じ人だとかんたんに見分けられました。有名人のまわりには、毎日のように会う家族や仕事仲間がたくさんいます。
見抜くポイント
- 1枚の写真で決めつけない:写真は、カメラとの距離や照明、表情でかんたんに印象が変わります。「顔がちがう」と感じたら、撮られた条件のちがいを考えてみましょう。
- 実在の人を「ニセモノ」と言うことの重さを考える:実在の人を「本物ではない」と決めつける投稿は、その人や家族を傷つけることがあります。広める前に、根拠が写真の見比べだけではないかを確かめることが大切です。
出典
- Variability in photos of the same face(ボンド大学 研究データベース(論文誌 Cognition、2011年))
- The Role of Within-Person Variability in Forming Stable Face Representations(米国立医学図書館 PMC(論文誌 i-Perception、2013年))
- Some hyper-realistic masks more believable than human faces, study suggests(ヨーク大学(英国))
- Selfies Drive Self-Image and May Lead Many to Seek Plastic Surgery(ラトガース大学(米国))
2026年10月14日に内容を確認しました。リンク先の内容は変わることがあります。