フリーメイソンは世界を操る秘密結社?実在の団体を検証
フリーメイソンが歴史や政治をウラで動かしてきたという説。団体そのものは300年以上前から実在しますが、「世界を操っている」という話に根拠はあるのでしょうか。説の生まれた歴史とあわせて解説します。
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どんな説?
フリーメイソンという団体が、ひそかに各国の政治家やお金持ちを動かし、革命や戦争、世の中の大きな出来事をウラで操ってきたという説です。アメリカの1ドル札にある「ピラミッドと目」の絵などが、その「しるし」だと主張されることもあります。
なぜ広まった?
- メンバーだけの儀式やシンボルがある:フリーメイソンには、会員だけが参加する儀式や、直角定規とコンパスなどのシンボルがあります。中が見えにくいことが、「何かをかくしているのでは」という想像をかき立ててきました。
- 18世紀から「黒幕」にされてきた:18世紀のヨーロッパでは、フリーメイソンを宗教や身分の秩序をこわすものと見る人たちがいて、フランス革命もフリーメイソンの思想のせいだと言われました。19世紀以降は、ユダヤ人と結びつけて「世界支配をたくらんでいる」とする陰謀論も広がりました。
- 身近なところに「しるし」があるように見える:1ドル札のピラミッドと目のように、どこかで見たことのある図がフリーメイソンと結びつけて語られ、「本当にあちこちにいるのでは」と感じさせてきました。
実際はどうなの?
- 説の言い分
正体のわからない秘密の組織だ
実際はフリーメイソンは実在する団体で、1717年にロンドンで4つのロッジ(支部)が集まり、最初のグランドロッジ(まとめ役の組織)をつくったとされています。イングランドの本部の建物は一般の人も見学でき、イングランドとウェールズなどの会員はおよそ17万人。慈善活動をしていることも公表しています。儀式の中身は会員だけのものですが、団体があることや活動は秘密ではありません。
- 説の言い分
革命や戦争をウラで起こしてきた
実際はフランス革命などをフリーメイソンのしわざとする主張は、18世紀に、フリーメイソンに反対する人たちから出てきたものです。米国ホロコースト記念博物館は、こうした主張を、のちにユダヤ人とも結びつけられていった陰謀論の流れとして紹介しています。フリーメイソンが革命や戦争を起こしたことを示す証拠は、見つかっていません。
- 説の言い分
1ドル札のピラミッドと目はフリーメイソンの印
実際はこの絵は、アメリカの国璽(こくじ。国が使う公式の印章)の裏面のデザインで、1782年に大陸会議(当時のアメリカの議会)で認められたものです。米国政府出版局の説明では、目は「摂理の目」(神が見守っていることを表す目)とされていて、フリーメイソンの印だという説明はありません。
- 説の言い分
日本にも入りこみ、歴史を動かした
実際は長崎には1885年から1919年まで、フリーメイソンのロッジがありました。ただ、国の観光解説によると、設立メンバーの多くは造船所で働くイギリス人男性でした。幕末に長崎で活躍した商人グラバーが会員だったという証拠はない、とも書かれています。
なお、この陰謀論は歴史の中で、差別や迫害の口実にも使われてきました。ナチス・ドイツは、フリーメイソンをユダヤ人と結びつけて敵とみなし、1935年には、残っていたロッジの解散と財産の没収を命じました。
見抜くポイント
- 「実在する」と「ウワサが本当」は別のこと:団体が実在することや、会員だけの儀式があることは事実です。でも、それだけで「世界を操っている」ことの証拠にはなりません。どこまでが確かめられた事実で、どこからがウワサなのかを分けて考えましょう。
- だれかを悪者にする話には、とくに注意:「あの人たちのせいだ」という説は、わかりやすくて広まりやすい反面、特定の人びとへの差別や攻撃につながることがあります。悪者にされているのはだれか、その根拠は何かを確かめることが大切です。
出典
- History of Freemasonry(United Grand Lodge of England(イングランド・グランドロッジ))
- Freemasonry(United States Holocaust Memorial Museum(米国ホロコースト記念博物館))
- Freemasonry under the Nazi Regime(United States Holocaust Memorial Museum(米国ホロコースト記念博物館))
- フリーメイソンロッジの門(観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース(国土交通省))
- The Great Seal(U.S. Government Publishing Office(米国政府出版局))
2026年10月14日に内容を確認しました。リンク先の内容は変わることがあります。