地震雲で地震はわかる?ふしぎな形の雲の正体を検証
「空にこんな雲が出たら地震が来る」。大きな地震のあとにSNSで話題になる「地震雲」は、本当に地震の前ぶれなのでしょうか。気象の研究者の解説や海外の研究、気象庁の見解をもとに解説します。
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どんな説?
大きな地震の前には、空に特別な形の雲があらわれる。その「地震雲」を見つければ、地震が来ることがわかる、という説です。帯のように長くのびた雲、一点から放射状に広がる雲、波のような模様の雲などが「地震雲」と呼ばれ、大きな地震のあとには、SNSに「これは地震雲では?」という写真がたくさん投稿されます。
なぜ広まった?
- 大地震のあとの「そういえば」:作家の伊与原新さんは、「地震雲」という言葉が広まったきっかけは、おそらく阪神・淡路大震災だろうと書いています。「地震の前の日に、妙な雲を見た」という証言が、多くのメディアで取り上げられました。
- 写真がすぐに広がる:スマートフォンで空を撮って、すぐにSNSに投稿できるようになりました。めずらしい形の雲の写真は目を引きやすく、「地震雲かも」という言葉といっしょに広がりやすいのです。
- 不安な気持ちが雲に向かう:雲の研究者の荒木健太郎さんは、「地震雲では」とたずねてくる人の多くが、不安な気持ちを抱えていて、それが見なれない雲に向けられているのではないか、と書いています。
実際はどうなの?
- 説の言い分
地震の前には、特別な雲があらわれる
実際は気象庁気象研究所の荒木健太郎さんによると、気象庁や日本地震学会は、「地震雲」があることは証明されていない、という立場です。地震雲と呼ばれる雲の多くは、飛行機雲や、空気の波でできる波状雲など、気象学で説明できるふつうの雲だとされています。
- 説の言い分
雲の形を見れば、地震がわかる
実際は荒木さんは、地下の変化が上空の雲に影響するかどうかはわかっていないとしたうえで、たとえ影響があったとしても、ふつうの雲と見分けることはできないので、雲は地震の前ぶれにはならない、と説明しています。気象庁の長官も2025年の会見で、日時と場所、大きさを決めて地震を予知することは、今の科学では不可能だと話しています。
- 説の言い分
地震雲が出たあとに、本当に地震が来た
実際は伊与原さんは、地震雲の話は、地震が起きたときの例ばかりを集めていて、雲が出ても地震が起きなかった例を数えていない、と指摘しています。2012年にイタリアで起きた地震を「ふしぎな雲を見て予知した」という報告について、アメリカとイタリアの研究者らは4年分の衛星画像を調べました。同じような筋状の雲は何度も出ていましたが、地震との関係ははっきり見られず、雲は風が山をこえるときにできるものと考えられる、と結論づけています。
日本では、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくありません。そのため、ふしぎな雲を見たあとに、どこかで地震が起きることも、めずらしくないのです。
見抜くポイント
- 「外れた例」も数える:「雲のあとに地震が来た」という話を聞いたら、同じような雲が出ても地震が起きなかった日がどれくらいあったかを考えてみましょう。当たった例だけを集めると、どんなものでも「前ぶれ」に見えてしまいます。
- 不安になったら、備えを確かめる:地震の情報は、気象庁などの公的機関から出されます。雲を見て心配になったときは、家具の固定や、水・食料の用意、避難場所の確認など、日ごろの備えを見直すきっかけにしましょう。
出典
- 空に浮かぶ不思議な形をした雲「地震雲」の正体とは?【書籍オンライン編集部セレクション】(ダイヤモンド・オンライン(荒木健太郎 気象庁気象研究所))
- 長官会見要旨(令和7年6月13日)(気象庁)
- On a report that the 2012 M 6.0 earthquake in Italy was predicted after seeing an unusual cloud formation(米国地質調査所(USGS))
- 「明日朝、地震アル」と“地震予知”した科学少年がいたのをご存知か(現代ビジネス(講談社))
2026年10月14日に内容を確認しました。リンク先の内容は変わることがあります。